不安障害
不安障害について
不安は、危険やストレスから身を守るために、誰にでも備わっている自然な感情です。
しかし、その不安が必要以上に強くなったり、長期間続いたりして、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を、一般に「不安障害」と呼びます。不安障害は「気の持ちよう」や「性格の問題」ではなく、医学的な治療や支援によって改善が期待できる疾患です。
一般的に使われる「不安障害」という言葉は、強い不安や恐怖を主な症状とする複数の疾患をまとめた広い概念です。
国際的な診断基準(ICD-10)に基づくと、不安に関連する主な疾患には、以下のようなものがあります。
※今後ICD-10はICD-11に変更されますが、ここではICD-10に基づき説明します。
パニック障害
突然、強い不安や恐怖とともに、動悸や息苦しさなどの身体症状が急激に現れる「パニック発作」を繰り返す疾患です。
- 動悸、息切れ、胸の苦しさ
- めまい、発汗、手足の震え
- 「このまま倒れるのでは」「死んでしまうのでは」という強い恐怖
発作への不安から、外出や人混みを避けるようになることもあります。
社交不安障害
人前で話す、注目される、評価される場面に対して、強い不安や恐怖を感じる疾患です。
- 人前で極度に緊張する
- 赤面、声の震え、発汗
- 失敗や否定的に見られることへの強い恐れ
学校や職場など、避けられない場面が大きな負担になることがあります。
全般性不安障害
特定の状況に限らず、日常のさまざまなことに対して過度な不安や心配が続く疾患です。
- 仕事、家庭、健康、将来などへの絶えない心配
- 不安がほぼ毎日のように続く
- 心配をやめようとしても頭から離れない
肩こり、頭痛、疲労感、睡眠障害などの身体症状を伴うことも多くみられます。
強迫性障害
自分でも「やりすぎだ」「意味がない」と分かっていても、繰り返し浮かぶ不安や行動をやめられない疾患です。
- 汚れや感染への強い不安
- 戸締まりや火の元を何度も確認する
- 手洗いや確認行為を繰り返してしまう
不安を和らげるための行動が、かえって生活の負担になります。
治療について
薬物療法
不安や緊張を和らげる薬や不安の背景にある気分の落ち込みや睡眠障害を整える薬が主となることが多いです。症状の程度や生活への影響を考慮し、必要最小限から慎重に使用します。
認知行動療法(CBT)
診断や病状に応じて認知行動療法が対象となることもあります。
不安を感じやすい考え方や行動のパターンに気づき、より柔軟な受け止め方や対処法を身につけていく治療法です。
- 不安を強めている考え方の整理
- 不安があっても少しずつ行動できる練習
- 「不安=危険」と結びつけすぎない考え方を身につける
薬物療法と組み合わせることで、再発予防や自己対処力の向上が期待できます
生活面へのアプローチ
- 睡眠や生活リズムの調整
- ストレスとの向き合い方の工夫
- 無理のない目標設定
こころと体の両面から支援を行います。
当院の治療方針
当院では、不安障害の治療において、診断名だけでなく、生活背景や困りごとを重視し、患者さんと相談しながら、無理のない治療を行っていきます。
不安は「弱さ」ではありません。
安心して相談できる医療の場であることを大切にしています。
